経営理念

ごあいさつ

右も左も判らず,薬学の世界・書籍の世界に飛び込んで早くも10年が経ちました.出版を含めた書籍ビジネスは,事業縮小・リストラ・再編・倒産廃業が相次ぐ典型的な構造不況業種ですが,順調な成長を遂げることができたのは,当社の企画編集方針に共鳴して頂いた多くの著者の先生方の御支援の賜物であり,この場を借りてあらためて深謝申し上げます.

薬学部が臨床色をより高めた6年制教育を始めて10年が経とうとしていますが,従来の基礎研究と臨床の垣根が残っているように感じる場面は少なくありません.臨床における予防・治療の最大のツールであるクスリを物質としてscientificに理解・説明・活用できるのは薬学部卒業生のはずであり,この基礎と臨床のギャップを早急に埋め,scienceを背景とした高いレベルの薬物治療を実践できる人材の育成は社会の要請であるはずです.一方で,他の医療者と協調を取り,医療サービスの受け手である患者やその家族に対して積極的に関わろうとする気概を持たせる教育も大切です.

大学卒業後,ビジネスの世界にいて常に感じていたことが,日本人は日々の業務を正確に効率的に勤勉に実行することにかけては間違いなく右にでるものはない反面,俯瞰的かつロング・タームでものを捉え,抜本的な問題解決ができる人材はあまり多くはないということです.昨今,グローバル人材育成という掛け声を旗印に,実践的な教育を望む声が高くなってきています.大切な考え方ですが,あまりに即物的に過ぎてはいないかと感じる場面も少なくありません.大学がなぜuniversity, college であり schoolでないのか,大学教員がなぜprofessorでありteacherではないのか,Ph.Dの意味は何かを考えれば,大学の果たすべき使命は自ずと見えてくるような気がします.

患者にとって何が大切か,何が問題なのか,どうすれば良くなるのか,自分で考え,それを実行する強い気持ちと,それを実現するための素養を持つ人材の育成は一筋縄ではゆきませんが,その一助となりうる書籍創りを目標にしてゆきたいと思っています.当社のある書籍の副題に「eternal explorer」とつけたものがありますが,この言葉を忘れずに真摯に愚直に書籍作りに精進したいと思っています.

2016年10月1日
株式会社京都廣川書店
代表取締役
廣川重男

■ 略 歴 ■

1963年生まれ
1987年3月
神戸大学経営学部卒
1987年4月
丸紅株式会社入社

主に発電プラント・化学プラント向け大型設備ビジネス、及び、それにともなう新規事業の企画立案・運営を手掛ける

2007年3月
丸紅株式会社退社
2007年4月
株式会社京都廣川書店入社、現在に至る